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ATLANTICA

ATLANTICA アトランティカ

ATLANTICA

海を渡ったサウダーデ(郷愁)の歌姫のデビューアルバム

大西洋から届いた 声
リスボン、カーボ・ヴェルデ、リオデジャネイロ・・・
海を渡ったサウダーデ(郷愁)の歌姫、待望のデビューアルバム!

エポカ・ヂ・オウロ (カフェ・ブラジル) のホジェリオ・ソウサをプロデューサーに、ブラジル、ポルトガルを代表する豪華ミュージシャンとリオでレコーディング!!

収録曲
01 ATLANTICA  アトランティカ(Mio Matsuda/Agenor de Oliveira/Rogerio Souza/Rodrigo Lessa)
02 LISBOA CIDADE  リスボン、私の街 (Lima Brumon/Helena Luiza Moreira Viana)
03 DISSE-TE ADEUS E MORRI さよならを言って死んだ (Vasco Lima Couto/Jose Antonio Sabrosa)
04 SAIKO サイコー (Ti Goy/日本語詩・Mio Matsuda)
05 TRAS D’HORIZONTE  水平線のむこうに (B/Leza)
06 DUAS CONTAS  あなたの瞳 (Garoto)
07 CONTO DE AREIA  砂のお話 (Toninho Romildo Bastos)
08 CANTO NENHUM  行き先のない旅へ (Agenor de Oliveira)
09 NAUFRAGIO  難船 (Cecilia Meireles/Alain Oulman)
10 TIMONEIRO  舵取り (Paulinho da Viola/Herminio Bello de Carvalho)
11 LUA LUMINOSA (AMEFURI-OTSUKI) 輝く月(雨降りお月)(Agenor de Oliveira/Shinpei Nakayama)
12 VELEIRO  帆船 (Heitor Villa-Lobos)

海 (Atlantica) を渡った“サウダーデ”

text by 松田美緒
このアルバムで、3つのポルトガル語圏の国々の音楽や詩に如実に表れる感情“サウダーデ”をファド、ショーロ、モルナ、サンバなどのジャンルにとらわれず、大西洋という大きな枠の中で表現したいと思った。ポルトガル、カーボ・ヴェルデ、ブラジルは大西洋に結ばれ、地理、歴史、文化的に互いに深く関わりあっている。それでも、同じ海=大西洋を語りながらも、リスボン、カーボ・ヴェルデ、リオの表現は海の色が違うように異なっている。紺碧、群青、蒼、瑠璃色、ターコイズ、エメラルドグリーン・・。同じ大洋の港でありながら、違っている海と、海への言葉達を、大きな航海をするように探りたかった。それぞれの感情表現、旋律、音色、グルーヴの魅力を形にしたかった。様々な人々の人生と宿命、思いが渡った海の旅路、大西洋。その重みを感じながらも、さりげない歌を歌いたかった。そして、世界中のどの港にもある普遍的な海のサウダーデの感情を、歌詩と音の世界から表現したかった。
「Atlantica」というタイトルは、大西洋(Atlantico)を女性形にした名詞。アトランティカという音の響きが好きなのと、自分が女だというのもあるし、まず大西洋という海を、ある女性のようにとらえたかった。
大西洋の旅はまず、「Atlantica」から始まる。ファド「Lisboa Cidade」「Disse-te Adeus e Morri」を続けたのは、切ないリスボンの波止場から船出する感じを出したかったから。次はカーボ・ヴェルデのサン・ヴィンセンテ島。「Saiko」で思いっきり陽気なクレオールの仲間達と踊り、遠い水平線に落ちていく夕陽を見つめた後(「Traz d’Horizonte」)、洗練されたギターの和音が響き(「Duas Contas」)ブラジル・リオへ到着。バイーアの海の哀しいお話を明るくサンバで踊り(「Conto de Areia」)、また新たな旅へ(「Canto Nenhum」)。それからは、どこへ行くのかわからない。夢をなくしたのはどこの浜辺だったか(「Naufragio」)、立ち寄って船乗りと騒いだのはどこの港だったか(「Timoneiro」)、そしておぼろげに憶えているメロディーを口ずさむ(「Lua Luminosa (Amefuri-Otsuki)」)。最後に立った海辺でもう一度、遥かな大西洋を見つめ、やがて波に運ばれていく(「Veleiro」)。
漠然と抱いていた“大西洋”アトランティカのアルバム、作ってみて初めて自分がなんて大きな存在を相手にしていたのかに気がついた。航海はまだ始まったばかり。追い風を背に、帆を膨らませて旅を続けよう、と思う。

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